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ファンフィク<2> 「ワイン越しのキス」

シーズン3の、どっかの話でC.Jがトビーにお父さんの話をしている回がありましたよね。
それがどこだったか、どうしても思い出せなくて、本当は見直してから書こうと思ったんですが、そのまま書いちゃいました。(^^::

C.Jやトビーの家族構成とかがよく分からなくて、C.Jの家庭の事情とかも良く分からなくて、途中でどうしようかと思ったんですが、そこは避けて書きました。(おい!笑)

今回は大人向けというほどではない、、、ですよ、きっと。(笑)
本当は頬かデコチューくらいあってもいいかなと思ったんですが、こっぱずかしいので止めておきました。(笑)
もうちょっと親しくなる過程を、自分の中に作り上げていかないと、なんかそこまではまだ書けないわ、みたいな。(^^;;

ちなみに、私のファンフィクは、C.Jとトビーだけというわけではないです。
ただ、今はちょっとマイブームで、続けて書いてみただけなんです。

私のTWW好き原点はジョシュとドナですが、こっちは何だか思い入れがありすぎて、自分であの二人の世界をうまく書く自信がまだないので、手を出せないでおります。(笑)

*この話はフィクションですが、私の創作です。無断転記はお断りします。

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『ワイン越しのキス』



 警備の人間に軽く挨拶をして、自らの足音が耳につくくらい人の気配のない深夜、トビーは自分のオフィスへ向かった。
 非常灯を頼りに慣れた通路を歩く。そして真っ暗なオフィスの扉を開けて、彼は一瞬ギョッとした。

「…あら~、お帰り、部長~」

「C.J、こんな時間にいったい何を、……飲んでるのか?」

「えぇ、そうなの~」

 酔ってトビーの部屋のソファに寝転んで、C.Jは楽しげにそう答える。
 部屋はブラインドが降りた、その隙間から月明かりがほんの少しだけの灯りを照らしている。
 良く見ると、彼女は着替えてもいないようだった。そのまま残っていたのだろう。

「そのワインは、どうしたんだ?随分ご機嫌だな?」

 トビーが尋ねると、C.Jは子供みたいに、うふふ、と笑って「部長にはあげないわよ」と答えた。

「なんだ、独り占めか?で、なんでここに?」

「いいじゃないの、時間外なんだから~」

 甘えたような声。けれど、暗がりでやはり表情は見えないままだった。

「そりゃ酷いな。うまそうなワインを分けてもくれないくせに、キミは私のソファを占領してる」

 そうトビーが告げると、C.Jはますます楽しげな声で「わかったわよ。でもね」と言うと、ようやく寝転んでいた身体を起こしてソファに腰掛けた。

「グラスは、これしかないから、ほら、部長にあげるわ」

 C.Jはそう言って持っていたグラスにワインを継ぎ足してそれを差し出した。

「ふむ…、で、キミはもう飲まないのか?」

「ま~さかぁ~!高かったのよ、これ!」

 そう言って、C.Jはボトルを自慢げにトビーに見せると、それをそのまま口に付けてグイと飲んだ。
 だが、やはり酔っているのだろう。ワインはうまく喉を通ってゆかず、C.Jはむせて咳き込んだ。
 ケホケホと苦しげに咳き込むので、トビーはようやくC.Jの側に寄ってソファの隣に座ると、彼女の背をトントンと軽く叩く。
 C.Jは少し大袈裟に深呼吸をして、それから「大丈夫っ」と言って、またボトルに口付けようとした。
 けれど、その動きはトビーによって止められる。C.Jからボトルを取り上げて、彼はそれを足元へと置いた。

「部長…、それはアタシが自腹で買ってきたのよ。なんで取るんですか」

「……何があった?言いたくなきゃ無理にとはいわんが、ここに居たってことは、取りあえず私にじゃなくても、誰かには言いたいことがあったんだろう?」

「…なにかないと、この部屋のソファに居ちゃいけなかったかしら」

「…あぁ、困るな。何も用がなければ、だが。何かあるなら、別にかまわんよ」

 C.Jは黙った。
 そして頭を両手で抱えるようにして前屈みになると、髪をクシャリと握る。
 トビーは、それから同じように黙って彼女が何かを口にするまで待った。
 沈黙が部屋を包むが、不思議と息詰まる感じはなかった。
 月光が部屋を淡い光で包んでいるせいだろうか、とトビーはボンヤリとブラインドのかかる窓を見て思う。
 そして、やがて諦めたようにC.Jが重そうに口を開いた。

「…部長は、……お独りで怖くはない?」

「何がだ?」

「…色々と。取り残されそうだとか、そういう孤独を感じたりはしません?」

「…普段はまったく思わないがね…。まあ、一度も考えたことがないといえば嘘だろう。つまり、共に生活するものがいないという意味で言ってるんだろう?」

 えぇ、とため息まじりにC.Jは答えた。そして続ける。

「老後がどうだとか、そんなことではないの。……父が、……病気かもしれない…」

 C.Jの言葉に、そういうことか、とトビーは納得したが、黙って彼女の続きを待った。

「…といっても内臓とか外傷とかじゃないのよ…」

「…というと?」

「……酷く物忘れが激しいの…。それに最近しょっちゅう電話をくれる。今日もあったの。しかも、どうでもいいことで、よ。まるで私が仕事中だとか、そういう観念がまったくないようで…」

 アルツハイマーかもしれない、とC.Jは小さく呟いた。

「…調べてないのか?診察は?」

 彼女はそう聞かれるのを分かっていたみたいに、直ぐに、そして頑な雰囲気で首を横に何度も振った。

「彼はっ、…父は、独りでこことは遠く離れたところにいるもの…。それにもし、……本当にそうだったら…入院させなくちゃいけないかもしれない。いいえ、それだけじゃない。わたしは面倒を見れないもの、誰か付き添う人を探したりしないと…、遠くに置いておくのも心配だから、こっちの病院を探したり………だから、……だから、……」

 C.Jは、そして突然立ち上がり、強い口調で言った。

「そんなんじゃないのよっ!そんなんじゃないの!……怖いのよっ、あたし、怖いの…っ」

 顔を両手で覆って、よろめくように立つ、その細く、今は頼り無く見える身体を、トビーは横に寄り添って腕の中に抱き込んだ。
 自分の肩ごしに顔を埋めて小さく嗚咽を堪える声がトビーの耳に届く。

「…厳格な父だったわ…っ、でも、私には優しかった……、いつも、一番頼れる人だったの……なのに、……」

 トビーはC.Jの背中をゆっくりと撫でながら言う。

「…誰にでも、父親というのはそういうものだろう…。そして、そういう風に人は年をとっていく。残酷だが、どうにもできない」

「…えぇ、分かってるの…。ただ、認めるのが怖くて……、それで…、バカね、わたし…」

「あぁ、知ってたさ。今頃気付いたのか?」

 トビーのおどける口調に、C.Jは「ひどいひと」と言って彼の背中にまわしていた手で、その背を軽く叩いた。だが声は明るかった。
 それからC.Jは自ら腕を解いてトビーから少し身体を離れるように距離をとると、初めてその目を合わせて微笑んだ。
 少し泣いた瞳が柔らかい月光で輝きを見せる。
 C.Jは言った。

「…父をD.Cの医者に診せるわ。なるべく早く」

「それがいい」

 トビーが静かに答えると、彼女は「聞いてくれて、ありがとう」とひどく素直に言った。
 その返事に「いや」とだけ答えると、トビーは最初オフィスに入ってきたときのように、またC.Jから離れて彼女を見た。
 すると不意に腕の中の温度が下がったように感じられた。手のひらが薄らさむい。
 オフィスは何も寒くはないはずなのに、それはひどく不思議な感じがした。

「じゃあ、…もう帰るわね。部長、驚かせてごめんなさい」

「…いや、役にたったなら、それでいい」

「ありがとう。おやすみなさい」

「ああ。おつかれ」

 そしてC.Jはそのままオフィスを出て、帰っていった。
 トビーは天井を見つめ、ひとつ大きなため息を吐いた。そして自分も帰らなくては、と思って動かした脚に何かが当たり、それがカタンと倒れる。C.Jが残したボトルだった。
 トビーはそれを手にとって雑に詰めたコルクを抜くと、クイッとボトルを口につけて飲んだ。
 ワインのアルコールは、そんなに強くはない。けれど、どうしてか喉が焼け付くような気分だった。
 ドサリ、と再びソファに腰を降ろす。
 なんだかすっかり帰宅する意欲が飛んでしまったように感じられた。

「…今夜はここで過ごすか…」

 ゴロリとソファに寝転がると、トビーはやがて静かにその目蓋をとじた。
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Author:himekatww
日本語ドラマタイトル「ザ・ホワイトハウス」、原題「The West Wing」の個人的応援ブログです。

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